A. 中央海嶺(ちゅうおうかいれい、Mid-Oceanic Ridge)

ほぼ大洋の中央を占め、地球規模の大きさをもつ大洋の山系。



A1. ゴルダ海嶺 (図I)

中央海嶺系のひとつで、東太平洋海膨の北方延長部。北米オレゴン州南部-カリフォルニア州北部沖にあり、南端はメンドシノ断裂帯に、北端はブランコ断裂帯で限られる。この間300km。比深500m以上の中軸谷がみられる。ゴルダ海嶺の東側のゴルダ海盆(水深2,800-3,200m)は、ゴルダプレートに属し、沈み込むプレート(スラブ)の先端は、カスケード火山帯の下200kmの深さに達している。沈み込む速度は2cm/年弱と相対的に遅いものである。[G5.03、5.07]



A2. 東太平洋(ひがしたいへいよう)海膨 (図I)

中央海嶺のひとつ。56°S、120°W付近(エレターニン断列帯系)から太平洋の南東を北上し、カリフォルニア湾口(タマヨ断列帯)に至る雄大な海底の凸地形である。なお、中央海嶺としての中軸は、カリフォルニア湾からロサンゼルスやサンフラシスコの北を通るサンアンドレス断層帯を抜けて、メンドシノ岬沖でゴルダ海嶺に、さらにはその北のファンデフーカ海嶺へと繋がる。東太平洋海膨の全長は約9,000km。海膨の横断面は非常に幅広くアーチ状を呈す。幅は2,000-4,000km、高さは2,000-4,000mほど。海嶺の拡大速度は4.6cm/年と見積もられている。通常、海膨頂部には、リフトバレイと呼ばれる中軸谷が認められ、そこには海底深部からの溶岩の湧き出しで熱せられた高温の熱水が、噴煙(スモーク)を噴き上げている。これには多くの有用金属が含まれており、冷えて固まった盛土(マウンド)には、硫化物を主体とする金属化合物の鉱床が形成されている。また、熱水の噴出口付近には、シンカイコシオリエビ、シロウリガイ、ハオリムシなどからなる熱水噴出孔生物群集がみられる。[G5.07、5.11、5.15]



A3. ファンデフーカ海嶺 (図I)

中央海嶺系の一つ。ワシントン州とオレゴン州北部沖にあり、ゴルダ海嶺の北方延長部。この間560km。中軸部はブランコ断裂帯により、ゴルダ海嶺の中軸に対して360kmほど西側にずれる。海嶺の中軸谷(水深2,300m)からは熱水活動がみられ、熱水噴出孔生物群集のほか、熱水鉱床がみつかっている。海嶺の東側にあたるカスケディア海盆(水深2,500-3,000m)はファンデフーカ・プレートに属し、その先端はカスケード火山帯の下300kmに達している。沈み込む速度は2cm/年弱。[G5.03、5.07]