D. 海台(かいだい、Plateau)

かなりの広さを有する比較的浅くて平坦な海底で、一方あるいはそれ以上の側面で急に深くなる。



D1. 奄美(あまみ)海台 (図II,図V-1,図V-2)

28°N、132°E。水深4,000-4,500mほどの台地の上には、東西に並ぶ3列の高まり地形がのっている。中央のものが幅広で、名瀬海山(水深1,130m)、古仁屋海山(水深1,150m)をのせる。南列は切り立った小海嶺(加計呂麻海山列)である。海台の西端は南西諸島海溝に沈み込んでおり、喜界島の隆起をもたらしている。奄美海台の南方には大東海嶺があり、両者は同一の島弧にあったものが古第三紀に分離し、その間に北大東海盆が生まれた。奄美海台からは白亜紀のトーナル岩、安山岩-玄武岩質岩石、始新世の粗面安山岩、始新世の浅海性大型有孔虫を含む石灰岩が採取されている。[海6725]



D2. 小笠原(おがさわら)海台 (図I,図II,図VII-1)

144°50′E以西の台地状の高まりと、以東の東西方向に細長く伸びる海嶺状の地形とからなる。海台の東端は149°10′Eで、この間600kmである。海嶺状の地形のところには矢部、半沢、片山などの海山がある。いずれも水深1,400m付近に平坦面がある平頂海山(ギヨー)である。また、147°E付近から南に分岐して小海嶺が140km伸びている。西側の台地状の高まりは、もともと海山列あるいは海嶺であったものが、プレートにのって東から移動してきて、海溝のところで十分に沈み込めずに押し寄せられて集合、合体したものとの解釈がある。半沢海山から、多孔質玄武岩(47Ma)、カンラン石玄武岩(49Ma)が得られている。矢部海山での詳しい研究によると、矢部海山の山頂は、中期白亜紀、中期始新世、中新世、後期鮮新世-更新世には浅海にあり、これ以降に現在の山頂水深にまで沈下した。[海6726]



D3. オントンジャワ海台 (図I)

ソロモン諸島北方のソロモン海膨にのる平原状の台地。大半が水深1,500-2,000m。スーパープリューム(マントルからの巨大な上昇流)の活動による大規模な玄武岩の火山活動で形成された。5,000万km3の規模で、白亜紀初期(120Ma)に誕生した。以降、中期中新世頃まで石灰岩の堆積があり、その後放散虫軟泥が堆積した。[G5.10]



D4. キャンベル海台 (図I)

ニュージーランド南島の南方に広がる。大部分が水深500-1,500m。海台の中央付近にキャンベル島を頂く。海台の南は南西太平洋海盆の南西端に当る。[G5.14]



D5. クインズランド海台 (図I)

オーストラリアクインズランド州、グレートバリアリーフ(大堡礁)の沖合、水深2,000m以浅の海台。頂部にはフローラ礁、リハウ礁など多くのサンゴ礁が発達する。海台の基盤は広域変成岩で、その上に中期始新世初めの温帯浅海成石灰岩が、そして前期中新世の終わり(17Ma)から熱帯性浅海成石灰岩(中期中新世初期は世界的サンゴ礁の最盛期)が堆積している。後期中新世頃から海台は沈下をはじめ、第四紀更新世のサンゴ礁の復活があるまでは、かろうじて一部でサンゴ礁を形成していた。なお、グレートバリアリーフの形成は、50万年前にはじまると考えられている。[G5.10]



D6. 朝鮮(ちょうせん)海台 (図II,図VI-1)

朝鮮半島東方沖。日本海北岸の海底は、狭い大陸棚から急崖をもって水深3,000mを越す日本海盆に落ち込んでいるが、西岸に至って大陸棚の沖合には、水深1,000-2,000mほどの複雑に解析された朝鮮台地が広がる。アジア大陸の残片で、基盤は先カンブリア紀(2,000-2,700Ma)の地質からなる。[G5.06]



D7. パプア海台 (図I)

ニューギニア島南岸沖サンゴ海北西部にある小規模な海台で、水深3,000m以浅。[G5.10]



D8. 東タスマン海台 (図I)

大洋州タスマニア島の東部にあるほぼ円形に近い小規模な海台。大部分が3,000m以浅。[G5.10]



D9. 松前(まつまえ)海台 (図VI-1,図VI-3)

41°30′N、139°05′E。水深930-2,000m。日本海東縁部にあるが、奥尻海嶺とは西隣にあり、それとは異なる地質構造を示す。白亜紀の溶結凝灰岩(72Ma)が採取されている。海台の東縁には大島(海抜714m)がある。[海6658]